初心忘るべからず
春、桜の花咲くころ、初めてのわが子の入学式に、親も子も胸おどらせたあの日。
あれから、もう二年が去り、この春は三年生になるこの子。そして去年は、二番目の子供の手を引いて入学式にのぞみました。この子は二年生になります。
桜の花の下を、母と子が手をひいてのぞむ姿は、まるで一枚の絵になりそうです。
入学当時は、親も子も何もかもが、新鮮でめずらしく、一生懸命なのに、だんだん日がたつにつれ、ついつい気がゆるんでしまいます。『初心忘るべからず』。本当にそうだと思います。
長い学生生活の出発点、いっぱいいっぱい、いろんな思い出をつくってやらなければ。
楽しいことも、そして苦しみに耐えぬく力強い心を、やしなってほしいと思います。
まだ、わが家には、あと二人のむすこの入学式が待っています。四人の男の子たちに、同じように学生生活の思い出をつくってやらなければならない母としてのつとめがあります。
それはまず、初めての小学校の入学式から始まります。無色からの出発が、いろいろな色に染まり、いつか輝かしい七色のニジをかけることでしょう。
何事も、慣れるということは恐ろしいことです。
『初心忘るべからず』。自分自身にいいきかせています。
昭和四十七年四月十日 愛媛新聞「てかがみ」掲載
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