おすそわけ
沢村貞子の『わたしの献立日記』の中に、「お裾分けは、好きなものも多すぎてはもてあます。お裾分けはお福分け、お互いにあれこれ分け合う楽しさ、心が豊かになる」とのべておられましたが、その通りだと思います。
何でも多ければ冷凍保存できる昨今です。でも、あまりにも寂しいじゃあないかしら!
「釣りに行って釣って来た魚よ、食べてね」
「お野菜たくさんもらっちゃったの、みずみずしいうちにどうぞ」
「お菓子焼いてみたの」「たくさんお菓子いただいてしまって...」
そのほか、手作りのうの花やちらしずしなどもお裾分けすれば喜ばれます。
そして、
「おいしかったわ」
「あのケーキ、どうして作るの教えて」
「この間の○○名産の菓子、味が良かった」などうれしい話が重なります。
近所にお福分けできる友人がいることは、何よりありがたいと思います。
お福分けの豊かさは、何よりおつき合いの節度が大事です。それは一本りんとした線を引いたおつき合いです。
無遠慮に他人の家庭に深入りしては悲しい結末になってしまいます。
『お裾分け』は、品物ばかりでなく、思いやりの心をそえて分けられる『お福分け』だと信じています。
平成二年一月十九日 愛媛新聞「へんろ道」掲載
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