夫婦の会話

四人の子供たちが結婚したり自立した今、夫婦二人の生活が始まりました。
考えてみると、結婚して一年目に長男が生まれ、次々と四人の子供に恵まれた。一昨年八十九歳で亡くなった養母をまじえ、七人家族の中で夫婦の会話のほとんどは子供中心だった。
折りにふれ子供たちと語る会話は今もなお、珠玉のようにこの胸に残り、喜びも寂しさも、私たち夫婦の胸中深く生きています。

   

今年四月に末っ子が自立し、夫婦としての会話が始まった。
二十九年間の結婚生活で初めて二人だけの会話です。話しても、話しても、話はつきない。
仕事から帰った夫と語る時間はとっても長く、子育ての時にくらべ、何時間も多くなった。ついつい夜寝る時間も遅くなってしまう。
会話の内容もさまざまです。たわいもない話から、とめどなく流れる会話は今の私たちには『生かされている』心の栄養剤のようなものです。そしてあすへの生活の原動力なのかもしれない。

   

これからもまだ末永い二人三脚の人生、精いっぱい語りたいものです。
夫婦だから黙っていても分かるつもりでも、やっぱり話しかけてほしいし、話しかけたい。労や励ましは今の私たちにはかけがえのない会話です。

けれどもやっぱり二人の心の中には子供たちとのすてきな会話の思い出があり、生きていく上での最高の輝きでありました。

   

平成二年七月十九日 愛媛新聞「へんろ道」掲載

   

   

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