パチンコ体験

昨年の年明け、三男の結納も無事終了。
ほっと安堵した私たちは道後の宿を出て、のんびり街を散策。とあるパチンコ屋さんの前で、夫が「入ってみよう」と声をかけた。
この年までパチンコをしたこともない私は、とんでもないと手を振るのに、めったにないことだからと無理やり店内におしこまれてしまった。

    

不器用で勝負事には無縁の私をイスに座らせ、夫は二千円分の玉を私にもたせる。
「二千円もあれば、たくさんのお野菜が買え、おいしいおかずが作れるのに」―頭の中をそんな思いがよぎる。

横に座った夫はさっそく、チンジャラチンジャラと開始。
それなら私もと始めてみるが、たちまち玉はなくなりはじめた。早く終え、宿に帰ろうと残りの玉を打っていると、どうしたことか!
チンジャラチンジャラ、出るわ出るわ。

パチンコ体験

あいにく隣の夫は席を立っていて、私は出る玉をどうしていいか分からず右往左往。
大きな声でお店の人を呼んで「すみませーん。玉が出て、玉が出て止まらないのです。止めて下さい!」。
走ってきた店員さん、玉入れ箱を並べ、私の顔をながめながら「私も長い間パチンコ屋に勤めていますが、玉を止めて下さいと言った人は初めてです」とあきれ顔。

夫が席にもどり、満面笑み。
それからどうしたのかって?モチロン現金に替え、めったに買うことのない超高価な夫のネクタイを求めた。
これに味をしめ、パチプロでもと夫は心配?とんでもない、後にも先にも、これ一回きり。

    

平成六年 愛媛新聞「へんろ道」掲載

   

   

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