魅せられて...
本を手元に置いておかないと落ち着かない性分は、昔も今もちっとも変わらない。
読書をすることは生活の中にしっかり根づき、一日のわずかなひととき、ページをめくる時間、充実と幸福感を思う。
昨年から独居の方々とふれ合う機会が多く、訪問するうちに、とっても本の好きな方がおられ、よく本の話をするようになる。
そして読んだ本について、私はこんなところが共鳴するとか、文中の人物の生き方、考え方等々を瞳を輝かして話される姿に、私も年を重ねてもこの方のような女性になりたいと、しみじみ思う。
何よりも心豊かに、優しくなれるような気がする。一日の生活のリズムの中での、わずかな時を大切にしたい。
でも時々、分からない漢字や横文字を調べることの煩わしさに、つい息子に声をかけてしまう。
「これは何と読んだらいいのかしら?」「この横文字、どんな意味かしら?」。
息子はそのつど、しっかり辞書を引き教えてくれる。でもそれに甘えて無精になる自分を反省、近ごろは国語、漢和、和英辞書を手元に置くことにした。
そして今、以前から読みたかったユン・チアン著「ワイルド・スワン」の扉を開こうとしている。
激動の中国を生き抜いた三世代の女性のノンフィクションに感動し、感嘆していくであろう自分に、今たまらないときめきを感じる。
「ワイルド・スワン」にのめり込むひとときが、当分続きそうである。
平成六年七月十八日 愛媛新聞「へんろ道」掲載
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