ああ食欲!
高校生に中学生、小学生と四人の男の子の食欲は、まさに「すごい!」の一言である。
七人家族の一ヶ月の消費米、約五斗、七十キロ弱である。
夫の同僚が冷蔵庫の中の食べ物が、片づかなくて腐ってしまうと、こぼしていたと話を聞き「わあ、わが家と正反対ね」と苦笑する。
何か食べるものはないかと、八つのひとみは冷蔵庫のすみずみまで点検?をおこたらない。
テレビで冷蔵庫のコマーシャルをみるたびに、「ああ、うちもいつもあんなに、いっぱいいっぱい入っていたらなあ―」とうらやましがることしきりである。
学校から帰って「タダイマ」の次の言葉は、どの子も「今晩なに?」である。
オムレツをすれば、タマゴが一度に十五個。二時間余りも時間をかけて作った、五十数個のコロッケは「いただきます」の合図とともにあっという間に、胃袋におさまってしまう。
一升のごはんをにぎって作った数十個のにぎりずしなら、まさにあっちこっちから手を伸ばし、「ああ、うまかった」でそれはもう、きれいさっぱりである。
煮込みうどんをすれば、大なべにうどん玉十数玉。
暑くなれば、大玉のレタスが二玉、パリパリと小気味良い歯音とともに、一度になくなってしまう。
うれしいことに、子供たちはおかずの文句を言わないし、なんでもおいしく食べてくれる。
春夏秋冬、いろいろな献立を考えながら、大変だけど、でも今が一番夫や私の人生で、充実した時だと思う。
だからきょうを精いっぱい生きていこう。
さあ、そろそろ腹ぺこの息子たちのお帰りだ。腕をふるわなくちゃあ!
昭和五十四年六月十日 愛媛新聞「てかがみ」掲載
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