小犬への祈り
どちらかといえば、犬も猫も苦手な私が、たった三日間飼った小犬との別れに、不覚にも泣けて泣けて仕方がない。かわいい小犬だっただけに、哀れとも、いとおしくとも思え、台所の片隅でポタポタ涙をこぼしてしまった。
高三の二男が、早朝の新聞配達の時、ついて来たと今まで犬二匹、猫一匹を連れて帰ったことがある。
最初の犬も利発そうな犬であったが、四日目に二男の高校について行ったきり帰ってこなかった。
今度の小犬は、まだ誕生してどのくらいだっただろうか。
ワンともキャンとも泣かないこの犬に、なぜか、いとおしさが増してきた。
だけど、わが家でどうしても飼ってやることはできない。
ご近所にも迷惑がかかるし、諸事情で犬を飼うわけにはいかないのである。
けさ二男が、連れてきた場所に、そっともどしに行ったけど、どんなに後ろ髪をひかれる思いで置いてきたことであろう。
かわいがっていただけに私も二男の気持ちを思うとたまらなく、後から後から涙があふれて止まらない。
どうか優しい人にひろわれて、かわいがってもらうよう、小犬のために祈る思いである。
昭和五十七年八月二十九日 夕刊うわじま「ゆうかん手鏡」掲載
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