私と読書

本を読むことを忘れて久しい。四人の子ども達の世話にあけくれて、読む間がないと、もっともらしい理由を一人つけ、あきらめていました。でも、学校時代あんなに夢中で、読みあさった文学書や詩集。何の進歩もない母親なんて、子どもが大きくなったら魅力なしだわ、一緒にジイドや、O・ヘンリーなどを語れたら、どんなにすばらしいかしらと考え、主人の快い許しで、毎月の家計簿に、主婦本代を計上することになって五ヶ月になる。

   

夜、蒲団に入り、一番下のチビちゃんの寝息をうかがいながらの、一ページ、一ページをひもとく時、とっても充実した安らかなひとときです。子どもや、主人に心うばわれた幸せな一日の終わりに開く、三十分余の静かなひととき。何もかも静止した、私一人きりの読書のひとときです。

忙しく、何の集まりや、会合にも出席することもないまま、自分の周りだけの日々では、あまりにも進歩がなさすぎるようで始めた読書は、私にとって大きなプラスだと思います。

   

学生時代、いろいろ読みながらも、ついつい質より量で乱読ばかり。心の中にとまった本が、何冊あっただろうかと悔やまれてなりません。

とはいえ、毎月毎月の本代の出費も、家計をあずかる私にとって頭のいたいこと―。そんな時、一番上の子どもが、市立図書館を利用しよう、と声をかけてくれました。本当に、図書館のこと、うっかり忘れていました。

ある土曜日、下のチビちゃんの昼寝の合間、三人の子どもと図書館に行きました。高卒して、実に十数年ぶりの図書館。それから毎週毎週、子どもとともに図書館通いが始まっております。今度は何を読もうかしら、楽しみです。

   

昭和四十八年頃 明倫小学校「明星」掲載

   

   

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