地震
『天災は忘れたころにやってくる』とか、この前の春の地震の時も驚いたが、六日の地震には夜中でもあり、強い震度にほんとうに驚いてしまった。
胸はドキドキ、足はガクガク、主人と二人の子供を連れて戸外へ出る。
また強いのがきはしないか、と一時間近く外にいて、やっと中にはいる。
でも、たびたびグラグラとゆれ、とうとう朝まで一睡もしなかった。
七時過ぎ、洗たく物を干そうと、物干し場に上がるのに、階段が恐ろしくて、またゆれはしないかと、ビクビク、とうとう出勤前の主人をくどきおとして一緒に上がってもらう。
それからたびたびゆれる。
自動車の音でも、地震の前ぶれかしらとドキドキ、畳を歩く足音にもビクビク、地震恐怖症だと主人に笑われる。
六日の夜、床にはいる前に、懐中電灯と、大きなふろしきを枕元に置く。
「これ何だい?」主人が不思議そうに問う。
「ああこれ、わが家の大事な物よ、預金通帳と現金、大事な書類にハンコ、こっちは赤チンにチリ紙とタオル、そして子供の着替えよ」
「ばかだな、もう心配ないよ」
「だって、万一ってこともあるから」
「アハハハ...」笑う主人がちょっぴりうらやましい。
「おかあちゃん、地震って土地の下で、大きな大きなナマズが、あばれてるんだってね、○○ちゃんがそういってたよ」五つになる長男がフトンの中からいう。
「でも、ジャイアント・ロボに頼めば大丈夫だよ、きっとナマズやっつけてくれるよ」
「そうね、おかあさんも頼もうかな?」
地下にいる大きな大きなナマズさん、もうあばれないでよね、お願いよ。
昭和四十三年八月十八日 愛媛新聞「てかがみ」掲載
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