三人兄弟
六月なかばに誕生したわが家の三男坊、そろそろ六ヵ月になろうとしています。
近ごろ特に表情豊かになり知恵がつき、寝返りをしてコソコソし始めたり、声をかけるとにっこり笑顔で答えてくれるようになると、かわいさもひとしおである。
女の子がほしいほしいと願っていた私たち夫婦と、二人のお兄ちゃんの期待に反して誕生した三人目の男の子。
でも今はもう、私たち夫婦も二人のお兄ちゃんもこの三男坊に首ったけ。
久しく遠ざかっていた赤ちゃんに家中で大歓迎。六歳と五歳の二人のお兄ちゃんはこの弟に大喜びで、おもちゃでも何でも「これ明ちゃんが大きくなったらやるんだ」と箱に一杯つめている。
よく「三人になると大変でしょう」「男の子ばかりでにぎやかでしょう」「忙しいでしょう」等々いわれるけど、とんでもない。
そりゃあ忙しくって、忙しくって、それに下の子をおぶって、おばあちゃんたちのお店の手伝いで一日三十時間ほしいなんて考えちゃいます。
でも張りがあって楽しいわ。
いつか三人のむすこが私たち夫婦から羽ばたくその日まで、ただひたすら二人のお兄ちゃんにも、そしてこの三男坊にも平等に、その愛を分けてやりましょう。
どうかその日まで、母としてわが子がすなおで心豊かな男の子に成長してほしい、と祈るのみです。
何の財産もない、貧しい私たち夫婦にとって、子供はかけがえのない生命であり、財産でもあるのです。
昭和四十四年十一月二十九日 愛媛新聞「てかがみ」掲載
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