二十歳と二十一歳で
夫となり妻となって十三年。
一日一日が、とても大切なつみかさね
世の中で一番いとおしい人。

   

神経を使う肉体労働の夫。
不規則な勤務のあけくれ、
夫が帰る一時間前から、私は一切外出しない。
夫の「ただいま」の一声に
「おかえりなさい」の一声がかけたくて
にこやかな笑顔を向けたくて―。

   

四人の息子と、夫に囲まれて
私はこの世で一番の幸せ者。
「何もいらない、おまえがそばにいるだけで」
「私もです」
十三年の年月は、私達の大切な足あと。
でもこれから先の幾十年、
今よりもっと夫を大切に思うだろう。
この人の為なら、生命なんていらない。
「お母ちゃんが大好きだ」と、
子供達の前で私の手の甲にそっとキスをする。
「お父さんすてき」と子供達。
今日も夫のことを思う。
汗水流して働いて、渡してくれる給料袋
一円だって無駄にするものですか。

   

子供を育てる条件はたくさんあるけど、
何より両親仲良く、家庭が暖かいことではないだろうか。
知名な人にならなくても、出世しなくてもいい、
暖かい血のかよった人間になっておくれ。
他人の不幸を喜ぶような、
そんな恐しい人にだけは、ならないでおくれ。

   

夫の語る一言一言の言葉は、
私にとって、生きてることの幸せのあかし。

   

(選者評)
おのろけのようでもあるが、立派な生活であり、心掛けである。

   

昭和四十九年十一月三日 愛媛新聞「愛媛詩壇」掲載

   

   

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