タイガーマスク

子供たちが毎週楽しみにしているテレビに、木曜の七時から始まるタイガーマスクがあります。
「またプロレスのテレビが始まったのね」なんて、はじめは声をかけて、食事のあとかたづけをしていました。

   

ある日、ふと子供と共にテレビをみているうちに、何だか画面に暖かい情が流れているようで、それが病みつきで、毎週上の二人の子供と見るようになりました。
みなし子だった主人公が、プロレスラーとなり、悪役レスラーから、みなし子たちのはげましで正義派のレスラーになります。
子供にとって、このタイガーマスクはこの上ないあこがれの人らしく、試合で得た賞金で、いたる所のみなし子施設に援助します。

   

目のみえない貧しい少女のために、危険な試合に出場し、そのお金で開眼手術をさせ、名もつげず、去って行くタイガーに、子供は涙を流して「タイガーはえらいなあ。僕も大きくなったら、タイガーのような人になりたい」なんて、日ごろはいたずらな六歳の二男の口から聞くと、「おやっ」と目を開く思いです。

「僕だったら、賞金もらったら、全部上げられるかな?ほしいものばかりだし、でも僕にはおとうさんもおかあさんもいるもの。そんなにお金いらないし、エイッ、寄付するよ」なんて、一年生の長男はもったいぶって話します。

テレビのタイガーマスクのおかげで、上の二人の子供は少しずつ、みなし子の施設のことや、寄付するということについて質問するようになりました。

   

子供たちが大きくなったら、何でもいい、どんな小さなことでも、社会に役立つ人に成長してほしいと。
そのためにも、正直者がバカをみない世の中に。心正しい人は、必ず最後はむくわれる、子供たちに声を大にしてたたえられるように。
そんな世の中になるのはいつでしょうか。やはりわれわれおとな一人一人のしっかりした信念と自覚だと思います。

   

昭和四十六年一月二十二日 愛媛新聞「てかがみ」掲載

   

   

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