長い目で

三番目のこの子が、幼稚園に入って九ヶ月余。
毎日帰園してから、今日は○○君、今日は○○ちゃんの所にと自転車に乗って遊びに行ったり、友だちを連れて我が家に来たり、とても毎日楽しそうです。

子育ての経験なんていったら笑われそうだけど、上の二人の兄弟の幼稚園生活の母親としての接し方と、今この子に対する接し方をくらべると自分の幼さを、恥ずかしく思い返しております。

   

始めて長男を幼稚園に入れた時、入園式の日「お母さん、お母さん」と、羽織をひっぱって泣く我が子になさけないやら、恥ずかしいやら、性格的におとなしい子だったので、なかなかなじみにくく、ずいぶん頭をいためました。
後になって考えると、心配したことが嘘みたいに、二人の兄はたくましく成長してくれました。

   

今は四年生と五年生。一人前に文句の一つも並べるようになりました。
あんなに弱虫だった子が―。こんなになるんだもの、そう思うと、どっしり気分が落ちつき、三人目のこの子は実にのんびり育って、再来年入園する下の子になったら、もっと落ちつくんじゃあないかしらと、これも子育ての経験かしらと、喜んでおります。

母親として、何より目先のことにとらわれず、広く長い目で、ゆっくり子どもを見つめてやることが、とても大切なことだと、近頃ひしひし感じております。

   

昭和四十九年十二月二十日 明倫幼稚園「父母の会報」掲載

   

   

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