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生い立ち

母の生涯を振り返りますと、困難の多い人生でした。

生まれたときに血にまみれていて、このままでは助からないと言われたらしく、祖母の姉夫婦が、それは不憫だ、それならということで、子供がいなかった姉夫婦の養女になりました。
そのときたまたま外国帰りのお医者さんがいたらしく、その人の治療のお陰で母は助かり、元気に育っていきました。

    

祖母の姉の夫である養父は商売をしていて、景気の良いときは大層実入りもあったようですが、それも長く続かず、やがて商売に失敗し、家も差し押さえになったそうです。
高校を卒業した母は、バス会社に就職したのですが、そのころに養父も亡くなり、養母と母だけで生活をしていました。

    

働いたお金のほとんどを養母に渡していたため、お小遣いもない母でしたが、当時気に入った服を買うために無理をして残業をしていたところ、体が疲れていたためか仕事中に事故に遭い、左足に大けがをしてしまいました。

二年間ものあいだ入院をして、足の機能は元に戻り不自由なく生活をすることが出来るようになったのですが、左足に大きな傷跡が残りました。
それ以来、母は足が見えるようなスカートを穿くことはありませんでした。



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